山本作品に対してもう少しコメントします。
> 「東京コンチェルト」と比較されたのが面白かったです。
僕も「東京コンチェルト」を思い出していました。
「今までにあったある部分が拡大された」というのは「東京コンチェルト」
を念頭に置いてのことです。
もう一つ付け加えておきたいのは「楽音」についてです。山本さんは最近、
「一つの音」という信念の揺らぎとか、「楽音」を新たに定義し直す、
というコンセプトを打ち出していましたが、例えばピアノ曲「フォルマ」
での三和音を「一つの音として見なす」のは僕にはあまりに観念的に
感じられたし、「Sonitus Ambiguus II」は以前の山本作品とそれほど
大きく変わっているようには思われなかった。しかし今回の作品にはそうした
前作に対して抱いていた問題点は見いだせなかった。その意味でここ数年の
山本さんの作品の中では一番納得のいく作品でした。