Re: ジャンル?

投稿者:野々村 禎彦
投稿日:97年2月09日 23時20分32秒
リモートホスト情報:mag301d.riken.go.jp
matida氏の投稿「 Re: ジャンル?」に対するコメントです

(内容)

>>> そろそろジャンルはジャンルとして成り立たない時代になってきてい
>> いずれにしても、*便宜*であって*本質*ではないと思います。
> 私が言っているのは私の便宜として成り立たないという事です
> ジャンルが元々音楽の本質であるかどうかは考えてもいませんでした
その点は、誤解していました。

しかし、「便宜として成り立たない」理由の方は、もっと簡単だと思います。
現在のジャンル分けは、まず基幹ジャンルがあって、その下にサブジャンル
が来る構造になっているわけですが、「基幹ジャンル」は、そのジャンルが
生まれて間もない時点で固定されてしまうからです。だから、音として非常
に近いものどうしが、全く別のジャンルの末端に位置していたりしてしまう。

# とあるフリーミュージック系の通販サイトを見たら、大友良英が「ロック」、
# ジョン・ローズが「エクスペリメンタル」になっていて、笑ってしまった。

>>> という事はやはり、価値は絶えず自分の中にしか
>>> 存在しないのではないでしょうか?
>> いやいや、価値は*個々の作品(のさらに個々の演奏)*
>> の中に存在するのであって、この音楽家の作品/演奏なら
>> いつでもいい、なんてことは有り得ないはずだということ。
> うーん、言ってる事が同じであるような、、
そんな気もしますが....

> 結局、哲学みたいになってしまうのですが、、
> 価値とは人間が作り出した言葉、、
> とすると人間が作らなければ価値という言葉は存在しない、
> 人間が価値を認めなければ作品そのものに価値が存在する
> わけがありませんと、言う事を言いたかったのです
人類が*進化*して空気の振動を感知しなくなった日には、
音楽というものの価値は失われるでしょうから、そういう
意味では町田さんの言う通りだと思います。

しかし、「無前提の公理」をいったんある程度認めれば、その
土俵の上での《価値》は、ある程度*客観的*に議論できます。
もちろん、その《公理》を決めたのは人間にすぎないのですが、
数学の*客観性*だって、それ以上のものではないわけで....

>>> レーベルがノージャンルとして売り出す事はかなり難しいと聞きます(倒産する)。
>> ただそれは、現在のレコード店の陳列システムが、ジャンルを
>> 第一検索キーにしているからにすぎません。アーティスト名が
>> 第一検索キーになれば、こういう問題はなくなるでしょう。
> レコード店のみならず、音楽ファンにもあてはまるのではないでしょうか
*価値は個々の人間の評価の中にしかない*とすると、それは結局
「ジャンルが音楽の本質になった」ということに相当するのでは?

>> 町田さんにとっての彼(メシアン)の魅力は何ですか?
> 僕の記憶に存在する彼に関する事(音楽以外も含め、
> それは僕の個人的な生活まで)全てです、こう言う
> ことしかできません、そういう物でしょう
> 逆に説明できる物は僕にとってあまり魅力的ではありません
わかります、私も「ある作曲家をなぜ好きか?」と尋ねられたら、
本心ではそう答えていますから(何かもっともらしいことを言う
場合には、それは単にサービス精神を発揮しているだけです)。

>> 私は、メシアンの作品は30曲くらい聴きましたが、
>> ついに何がいいのかわかりませんでした。
> しかし、野々村さんの30曲という考え方は理解できません
> 僕は判定機械ではなく、人間なのです
> 1曲1曲聴くのは不自然でもあります
ただ、《いい/悪い》というのは、やはり曲にもよると思います。
「たまたま自分に合わないを聴いただけ」という可能性を排除する
ために聴いていったら*30曲*になった、というだけの意味です。

> モトリークルーとさだまさしでは全く違うのでは?
> −音楽から音楽を好きになる人−
> 好感が持てます
> −外見から外見を好きになる人−
> 持てません、、
ああ、そういう意味なのですね。ただ、さだまさしに
関しても、これはある程度当てはまると思いますが。
・さだの書く音楽が好きだから、さだ(という存在)が好きだ
というファンから、
・さだ(という存在)が好きだから、さだの書く音楽が好きだ
というファンに、彼のターゲットが移っいったように思うので。

> 純粋な音楽だけが音楽の魅力ではありません、、
> その音楽に対して抱く幻想、回想、妄想、、
> 全てがその音楽の魅力なのです、
だったら、*外観*だっていいような気もしますが、そこが
町田さんの《絶対に譲れない一線》なのでしょうね、たぶん。


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