1999年11月
海辺の町のあちらこちらで、イルミネーションが瞬き始めました。毎年いろいろ見て回るのですが、こじんまりしたものから、大掛かりなものまで、それぞれ工夫が凝らしてあって、寒さを忘れて見入ってしまいます。
先日「見て忘れる」という句集を見かけました。うっかりして作者の名前を忘れてしまったのですが(正にタイトル通り)、その句は、生真面目な顔で言葉と向き合おうとする者の足元を見事にすくいます。そこにはからりとした笑いがありました。でもイジワルじゃありません。イタズラです。
「聞いて忘れる」、「書いて忘れる」、「会って忘れる」、「読んで忘れる」、「作って忘れる」etc.いくらでも続けていけそうですが、これらの背景にある意識的に何かに取り組み、意識的に忘れるという能動的な態度に心引かれます。
忘れれば余白が出来る。余白は遊び。もしかしたら忘れることは遊ぶことなのかも知れませんね。
さて、このコーナーはひとまずお休みします。月一回の自分の言葉は私にも予測がつかない展開になったりして、とても楽しいものでした。辛抱強く原稿を待って下さった山本さんに本当に心より感謝の言葉を申し上げます。一年間お付き合い下さった皆様、どうもありがとうございました。それではまたいつの日かひょっこりお会いしましょう!









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(c)1999 Mitsuko Kado