1999年5月
「うむ、魔界かな、これは、はてな、夢か、いや現実だ。」

G・フォーレの「レクイエム」の第5曲《アニュス・デイ》の前奏をピアノで弾く度に思い出すセリフです。

譜面を繰り返し弾いていると、音の周りにある生々しさが気になっていきます。だから何度も弾きます。まるで玉葱の皮を一枚づつ剥がしていくかのように「我」を取って行きます。
でも楽器をコントロールしているのは、ありふれた日常に生きている私。作業中の「我」と無くしていく「我」との間の葛藤を観察しているのは、結構楽しいものです。
ちなみに冒頭のセリフは泉鏡花の「山吹」に登場する画家のつぶやきです。それではまた6月に。









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(c)1999 Mitsuko Kado