1999年2月
冬の朝。鍵盤はとてもひやりとしています。触れている指先はすぐに真っ赤になってしまいますが、そのまま指のための練習を注意深く続けます。
半時ほど経つにつれて、木(鍵盤)は私の体温をその内側にとどめていきます。私はこの木が大地に根差していた頃の様子を、少しばかり想ってみたりします。木の温もりが心地好くなったら、ひとまず休憩です。
こんなひとときを鍵盤と共有した後、『ピアノをひく・・・人間の指がダンスする。』(ヴィトゲンシュタイン)の段階へと私は移っていきます。
風邪の季節。暖かい飲み物が嬉しいですね。それではまた三月に。
(参考文献)ヴィトゲンシュタイン「反哲学的断章」丘沢静也訳 青土社 1995年 P101









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(c)1999 Mitsuko Kado