1999年7月
お日様が傾いてきました。すでに天蓋は外されています。60人ぐらいのお客様が、夏草の生えている段々に思い思いの姿で座って、ピアノを見下ろしています。急ごしらえの屋台からはソーセージの焼ける匂い。ビールもあります。
最初は私のソロ。プログラムは6月神社バージョン。伊福部昭、平石博一、林光、そしてジョン・ケージの作品。
風が音を誘います。境内を取り囲む木々の葉が、響きを返してくれるのには驚きました。音が廻ります。弾いている私の脇を犬が通りすぎていきます。子供が竹を叩いてます。そして周りのざわめきとすっかり打ち解けている自分がいます。「今」と「ここ」がちゃんとあるのだということを、音が教えてくれています。
ピアノは打楽器になってきました。調律も調整も過去の出来事。後半はサックスの藤川正雄氏とのDUOで即興演奏です。「待つ」ことが即興の楽しみです。それは相手の音を「待つ」ということだけではなく、自分が本当に出したい音が出て来るまで「待つ」ということでもあります。
照明の無い境内はどんどん薄暗くなっていきます。アーチストの梶山こうじ氏の光のオブジェが音に反応して瞬いています。いつの間にか藤川氏は竹の横笛を吹いています。
風の冷たさに身震いをし始めたころに演奏は終わりました。楽しくて、ちょっと不思議な演奏会、、、。それではまた8月に。皆様お身体お大切に。









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