> 先日の「日本の作曲家'97」で山本さんのピアノ曲「フォールマ」を聴きまし
> た。有無を言わさないという感じの音の洪水というか、とうとうとした音の流
> れに、思わず、口をぽかんと開けて聞き入ってしまいました。オスカー・ピー
> ターソン(ジャズ・ピアニスト)顔負けの豪快な速弾きで、聴きながら思わず
> ニヤッとしてしまいました。譜面も買ってしまいました。
あの曲の速度指定は「できるだけ速く、一定に」です。でもあの本番の
演奏は私の聴いた中でも最速でした(演奏は中村和枝さん)。
私も半分ボーゼンとして聴いていたんです。(笑)
> 「フォールマ」とはどういう意味なのでしょうか。
> どうしてその題名をお付けになったのでしょうか?
タイトルはラテン語で、「形」や「成り立ち」などといった意味があるらしいの
ですが、この場合は後者です。
楽音というものが五線記譜法の必然によって、明快な音価やピッチなどの
パラメーターに分析されがちなのに反発して、自分なりの「楽音の成り立ち」を
新たに作ってみようとしたわけです。
「フォールマ」の場合、素粒子のような細かい音の群をそれぞれまとめたものを
はじめて「楽音」として扱っています。それらの素粒子が個々に聞き取れてしまうと
楽音が分裂してしまう(ことになる)ので、なるべく速く弾いて、「音の洪水」
のようにならないといけなかったわけですね。
#この曲をご存じない多数の方々、ごめんなさい。
#機会があったらデータベースにアップします。
> ふだんは作曲のどの段階においてその作品の題名が決まるですか。
ケースバイケースです。曲のアイデアに適したタイトルが書く前にでも
思いつけば早めに決めてしまいますが、曲が終盤にさしかかっても
思い浮かばないときには、とんでもないタイトルを付けてやろうかと
思うこともありますよ。「白鳥の湖」とか。(笑)
あと、チラシの印刷の都合で泣く泣く不本意なタイトルを付ける
場合もままあります。