Re:三行書簡24 ミザン・ロージュ宣伝 プログラム

投稿者:Yoichi Sugiyama
投稿日:97年10月26日 16時39分28秒
リモートホスト情報:mz-max-ip-89.iunet.it
Yoichi Sugiyama氏の投稿「 三行書簡24 ミザン・ロージュ宣伝」に対するコメントです

(内容)

チラシ裏側の原稿。実は当日のプログラムも兼ねています。

ミザン・ロージュについて

この演奏会に来て下さった方は、前にミザン・ロージュの演奏にふれている方も
多いのではなかろうか。五年ほど前の学生だった時分に集まったのがきっかけで今に
至っているのだけれど、その間、メンバーの入れ替わりもあれば、存在理由も随分と
変わった。そんな微妙に移ろう時代に僕らは時に集い演奏を共にして来た訳で、これ
はなかなか掛け替えのない体験かも知れない。
この場を借りて友人として参加を快諾してくれたエキストラの皆さんにも心から御
礼申し上げたい。
さて久々に皆が集まってみて、何が見えてくるのか。

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杉山洋一 「輪舞曲」

ここ暫く日本から離れてみて少し分かってきたことがあるとすれば、音楽とはす
べての拘りと何ら関連なく存在しているんだろうなということか。
全体が意味をなすべく理屈を捏ねることは、最近頓に少なくなったように思う。
ながれ、というもの。もしくはその向こう側に、あるもの。
そんなことをつらつら思い浮かべつつ。

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G.ロッシーニ 弦楽のためのソナタ第5番

ミラノスカラ座の中央玄関脇の小さな入口からへろへろに擦り減った石階段で二
階に昇るとちょっとした博物館があって、スカラのオペラに纏わる展示品が犇めきあ
っている。
狭い館内で団体客のガイドの説明を聞いていると、決って入って二番目だったか
の小部屋のロッシーニの肖像画の前で「こちらが作曲家の頃のスマートなロッシーニ
。あちらは美食家になられてからのでっぷりしたロッシーニで 」云々とはじまる。
イタリア人にとって彼は特に人懐っこい存在のように見える。

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南聡「美美帯域」

彼の作品は個人的に大好きである。面白いもので、最近は彼の作品の日本的な部
分が妙に明確に見えてくる。この作品は北海道の環境問題に関連し、美しい風景に黒
々とした烏が飛び交い、ふと見ると塵芥がこんもりと積る。確かにそんなどこか荒涼
とした思いを秘めているのだが、それがこの作品の魅力ではない。
鳥たちの囀り。大きな夕日。木々のざわめきと風の色。色々に絡まった、いのち。

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L.デ・パブロ「我に語らせ給え」

「この曲はフランコ(政権)から国外追放された時期にあちこち転々としつつ書いて
てねえ。ちょっと特別な思い入れもある。ちょっとね。それが曲にあらわれている訳
ではないけれど」
 少しはにかみつつ、穏やかに話してくれる。妙に高い処に拵えてある小窓から、
金色の午後の太陽が彼の落ち着いた色合いのカーディガンを浮き上がらせている。
 波が思いを運んでゆく。
 時として飛沫が目に染み、凪いだ水鏡に静かに波紋をひろげてみたりする。
                         (杉山洋一)


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