水の音
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作曲者 山本裕之
演奏時間(分) 8 min.
楽器編成 Vocal-ens.
備考 ヴォクスマーナ委嘱/テキスト:松尾芭蕉
作品ノート 音楽にとってのテキスト(言葉、詩、あるいは詞と言ってもいい)の役割とはなんだろう。一般的に「音楽は言葉の意味内容を表現する」と考えられている。それは古くからの聖歌や歌曲などの実例を見れば明らかだ。しかしテキストにはもう一つ重要な役割がある。

この曲で、私は松尾芭蕉の知らない人はいない有名な俳句をテキストとして用いたが、言葉は音素分解されている。例えば「古」を「f」「u」「r」「u」というように言葉の発音を最小単位に分けてみると、そこに含まれていた表現されるべき意味内容は飛沫のごとく消滅する。私は芭蕉の俳句を音素に分けて断続的に細かく散りばめることによって、本来俳句が表す内容を曲の中で聴き取れないようにした。

そうすることによって、「音楽は言葉の意味内容を表現する」という前提が崩れる。ではその他にテキストは音楽において一体何の役割を持つのだろうか? 分解された音素は、ここでは原則として元の俳句に使われる言葉の順番通りに出現させている−−つまり発音自体が激しく入れ替わることはない(例えば「furuike」が「iefukur」などとなったりはしない)。ここで言葉の意味は失われたからといって音素の順番を自由に入れ替えてしまったら、そもそもテキストを用いる意味はないのだ。なぜならばテキストには音楽の構造を支配する役割もあるからだ。テキストの言葉によって音楽が進行し、やがて終わる。……たとえ意味内容を失っても、テキストには音楽の入れ子としての機能が保持されている。むしろ音楽におけるテキストの存在意義は、そちらの方が大きいのではないだろうか。

ヴォクスマーナの委嘱により、2006年3月に完成。
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